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一着一着がとても高価な着物ですが、着用後のお手入れ次第で長持ちするかどうかが決まってしまうことがあります。正しくお手入れしないと、カビや汚れの原因になってしまいます。
本記事では一度着た着物のお手入れ方法を分かりやすく解説しています。今からでもすぐに実践できるので、ぜひ参考にしてみてください。
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【結論】着物を一度着たらお手入れを徹底しよう
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着物を一日着た後には汚れや湿気を吸っている状態です。もし、そのまま畳んで仕舞ってしまえば、カビや黄ばみの原因になります。
また、着物は繰り返し洗うことができません。何度も洗えば生地が痛み、着物の風合いが失われてしまいます。
そのため、一度着物を着た後には色んなお手入れを行いましょう。
- ハンガーに吊るして風を通す
- シワを伸ばしておく
- ブラシでホコリを落とす
- 軽い汚れは取り除いておく
これらを行うことで、カビや黄ばみ・シミの発生を防ぐことができます。また、シワができにくく綺麗な状態を保つためにも大切です。
着物を着たあとのお手入れ手順
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ハンガーに吊るして湿気を取る
着物の湿気を取るためにハンガーに吊るしておきましょう。着物を着た時に体温が移っているため、熱や湿度が高くなっています。
また、着物をハンガーに吊るすことで湿気を取るだけでなく、シワを伸ばす効果もあります。着物を着たあとに半日〜1日、風通しの良いところで吊るしてください。
ホコリを落とす
着物用ブラシでその日のホコリを払い落としてください。もし、着物用ブラシが無ければ絹のハンカチでも代用できます。
着物のホコリを落とす際は、新聞紙などを下に敷いてブラシで表面を払い落とします。
衿から袖、身頃の順番にブラシをかけていきましょう。最後、裾にブラシをかける際は、砂埃りを含んでいることが多いため念入りに行なってください。
汚れを取る
その日についた着物の汚れは、その日のうちに落としておくと良いでしょう。着物に汚れが定着する前なら自分で落とすことができます。
汚れの種類 | 落とし方 |
油性汚れ (ファンデーション、ボールペンなど) | ベンジンやリグロインをタオルに含ませて優しくこする |
水性 (お茶、コーヒー、ソース) | 中性洗剤を薄めたものを、歯ブラシで叩いて汚れを落とす |
血液 | 中性洗剤を薄めたものを、歯ブラシで叩いて汚れを落とす |
泥汚れ | 陰干しして乾いたらブラシで払い落とす |
汗汚れ | 濡れタオルで叩き、タオルで水気を吸い取る |
ちなみに、これらの汚れの落とし方は軽い汚れの場合のみ効果があります。着物の生地の奥まで入り込んだシミはなかなか自分で落とすことはできません。
そのため、頑固な汚れは無理に落とそうとせず、着物クリーニングの専門店や悉皆屋でシミ抜きを依頼しましょう。
また、ベンジン等の薬剤を使った着物の汚れ落としは、落とし方や保存方法に注意を払わないといけません。
本記事ではベンジンを使った汚れの落とし方も詳しく解説しています。
アイロンでシワを伸ばす
部分的なシワであれば、アイロンで伸ばしておきましょう。ただし、金箔・銀箔・正絹・天然素材を使った着物や、シワが大きい着物はアイロンが使えません。
さらに、アイロンを使う際は細心の注意が必要です。
- スチームアイロンは使わない
- 全体にアイロンを当てない
- 軽く・素早く抑える
など、特に高温にならないよう、スチームは使わず中〜高温でアイロンをかけていきます。
着物全体にしっかりアイロンをかけてしまうと、繊維がつぶれて風合いがなくなってしまうことがあります。
また、正絹を使った着物は熱に弱く縮みやすいため、素早くアイロンがけを行いましょう。
カビに気をつけて保存する
着物のカビを発生させないための保存方法を知っておきましょう。着物にカビが生えてしまう条件は⋯
- 60%以上の湿度
- 5〜35度の温度
- タンパク質を含む汚れや繊維
これらが揃った時にカビは発生します。
特に、カビはタンパク質を餌にして繁殖するやめ、タンパク質でできている絹糸を使った着物はカビの発生率が高いです。
そのため、湿度を上げないように換気や陰干しを行いましょう。その他にも、カビを発生させないための方法を本記事後半で詳しく解説しています。
着物の汚れを落とすにはベンジンやリグロインを使おう
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ベンジン・リグロインを使った着物の汚れの落とし方
ベンジンやリグロインはそれぞれに特徴があります。汚れの具合によって使い分けていきましょう。
- リグロイン→弱めの薬剤
⋯輪じみになりにくく、薄い汚れや初めて使う人向け - ベンジン→強めの薬剤
⋯強めの薬剤で汚れが落ちやすいが、輪じみにもなりやすいので注意
まず、初めて薬剤を使って落とす場合はリグロインがおすすめです。ベンジンは強い薬剤なので、輪じみができるリスクがあります。
着物にベンジンやリグロインを使う際は、輪じみにならないよう素早く汚れを落としてください。
またベンジンやリグロインを使用する際は、下記の注意点をしっかりと守って使うようにしましょう。
薬剤を使用するときの注意点
- ベンジンとリグロインは絶対に混ぜない
- 引火しやすいのでよく換気して使用する
ベンジン・リグロインの保存方法と廃棄方法
ベンジンやリグロインは、保管方法や廃棄方法にも気をつけましょう。
保管方法
- 直射日光を避け冷暗所で保管
- 容器を必ず密閉しておく
- 火があるそばには置かない
- ポリスチレンの容器は溶けるから保管しない
ベンジンやリグロインの扱いに必要以上に神経質になる必要はありませんが、元々はオイルなので火だけには十分気をつけてください。
また、ベンジンやリグロインの捨て方にも注意しましょう。
廃棄方法
- 洗面所などに流さない
- 基本的には使い切る
- 気化するので外に封を開けて出しておくか、タオルに染み込ませて蒸発させる
ベンジンやリグロインは蒸発していきます。そのため、家の中で液体のまま流さずに蒸発させてください。
着物のカビを防ぐ方法
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湿気を避けて保存する
着物のカビを防ぐため、湿気を避けて保存しましょう。
- こまめにタンスや衣装ケースを換気する
- 部屋には除湿剤を置く
- タンスには除湿シート
- 衣装ケースにはすのこを敷く
- 引き出しに着物を詰め込まない
また、家の中でも最も湿気がこもりにくい場所での保管もおすすめです。
さらに、引き出しの中に着物や衣類が多いと空気の流れが悪くなります。そのため、タンスは1つの段に1着のみと決めて保管しましょう。
そして、除湿剤やすのこを敷くことで湿気を防ぐことができます。定期的に換気をしたり、除湿剤を入れ替えることでカビを防ぐようにしましょう。
定期的に虫干しをする
年に数回は着物を虫干ししてカビ予防をしましょう。着物を外の風に晒し、湿気や虫を取り除くことを「虫干し」といいます。
一般的に虫干しに適した季節は年に3回あります。
土用干し | 7〜9月 | 梅雨に吸った湿気を乾かす |
虫干し | 10月〜11月 | 夏についた虫を追い払う |
寒干し | 1月〜2月 | 最も湿気が無い乾いた時期に湿気を乾かす |
虫干しは、天気が良い日に日光が当たらない場所で1〜2時間着物を吊るしてください。着物を吊るすには、着物ハンガーか物干し竿でも代用できます。
また、西日や蛍光灯の光にも当たらないよう気をつけてください。絹は紫外線に弱く、着物が色やけや黄変を起こしてしまいます。
ちなみに、着物や帯を虫干ししてくれる代行業者もあります。自宅で干すのが難しければ、依頼するのもおすすめです。
たとう紙に包んで保管する
たとう紙は着物を包む目的の和紙のことです。たとう紙に包んで保管することにより、カビ予防になります(※関西では「文庫紙」と呼びます)
- 除湿効果が高い
- 通気性がいい
- 布地にシワをつきづらくする
など、着物にカビを生えさせなくするために、様々な効果が期待できます。
さらに、たとう紙は1枚数百円程度で購入できるのもメリットです。たとう紙は半年に1回〜2年ほどで交換するようにしましょう。
- 黄色いシミができてくる
- たとう紙が膨らんでくる
このような変化が見られれば替え時です。
特に、たとう紙が膨らんでいる場合は、湿気を吸って膨張しているということです。そのため、放置してしまうとカビの原因になってしまいます。
ちなみに、虫干しの際に着物を広げる手間が大変であれば、たとう紙に包んだまま風に通すだけでも意味があります。
着物のお手入れ方法 | まとめ
着物は1度着たらすぐにお手入れを行なってください。また、定期的な換気や虫干しもカビ予防に欠かせません。
着物は1着を長く大切に着るものです。そのため、少しでもカビや汚れを防いで綺麗な状態を保っていきましょう。
もし、どうしても落とせない汚れがあれば着物専門クリーニングへ依頼しましょう。丸洗いやシミ抜きなど、プロの手によって綺麗に復活させてくれます。